正弦波中毒
先生が綴る、甘酸っぱい毎日。
好い子は見ちゃ駄目。悪い子は影響されちゃ駄目。
好きな人が、見てくれれば好い。大嫌いな人も見てくれれば、好い。
判らない、知らない、伝わらない、のは僕のせいです。
喋れば喋るほどに、孤独に孤立していきました。
お母さん、貴方は、まったく正しい人でした。
私が、黙っていれば、ただ、ただ、黙っていれば
良かったんでしたよね。
そうすれば、”普通”に見える、んでしたよね
貴方は正しい、全く正しい。
正しいですね。
だって、わたしは
こうして喋れば、喋るほどに孤独に孤立していくのだから
恋を恋する人
わたしはくちびるにべにをぬつて、
あたらしい白樺の幹に接吻した、
よしんば私が美男であらうとも、
わたしの胸にはごむまりのやうな乳房がない、
わたしの皮膚からはきめのこまかい粉おしろいのにほひがしない、
わたしはしなびきつた薄命男だ、
ああ、なんといふいぢらしい男だ、
けふのかぐはしい初夏の野原で、
きらきらする木立の中で、
手には空色の手ぶくろをすつぽりとはめてみた、
腰にはこるせつとのやうなものをはめてみた、
襟には襟おしろいのやうなものをぬりつけた、
かうしてひつそりとしなをつくりながら、
わたしは娘たちのするやうに、
こころもちくびをかしげて、
あたらしい白樺の幹に接吻した、
くちびるにばらいろのべにをぬつて、
まつしろの高い樹木にすがりついた。
だって私、生まれたときから膣がないの。子宮も卵巣もない。
だから一生誰にも抱かれずにすむの。永遠の少女でいられるの